画面越しに見ていた人間と、くだらない話をする仲になっていた。
—歌詞を書く二人の、終わらない恋と音楽の話。

室井雅也×岩瀬賢明(とけた電球)

室井雅也が音楽活動を初めて2年が経った今、その時の流れの中で様々なミュージシャンや人間との出会いがあった。その中で、公私を問わず様々な場面で一番お世話になっていると言っても過言ではないのが、バンド「とけた電球」の岩瀬賢明さんだ。「とけた電球」は「閃光ライオット2013」でファイナリストまで勝ち進んだ超実力派バンドであり、これまで開催してきたワンマンライブは全てソールドアウトするなど、今確実に話題性のあるバンドである。そんな「とけた電球」をスマートフォンの画面越しに見て、憧れていた室井が今やボーカルの岩瀬さんと共にケバブを食べたり飲んだりする仲に。時に深く音楽の話を語らったり、女の話を笑いながら繰り広げたりしている。そんな二人の会話を、今回は対談として聞かせてもらった。

編集・取材 安藤勇作
文章 片山宇太郎

そうだね、富士そばいったね。(岩瀬)

室井:
岩瀬さんお久しぶりです。こんなに改まって話すのなんて初めてですよね。


岩瀬:
いつも適当に呑んでるだけだからね。


室井:
今日は雑談と言うか、ラフに話していければ良いなと思ってます。まず岩瀬さんと俺がどこで出会ったか、馴れ初めみたいな所から話したいです。


岩瀬:
多分、最初に会ったのは渋谷の代々木公園だよね。


室井:
代々木公園でしたっけ。


岩瀬:
ほら、あの一緒に弾き語りを一緒にさ。

室井:
いや、違いますよ!笑


岩瀬:
違うか(笑)


室井:
初めて会ったのは、厳密に言うと僕が高校生の頃、岩瀬さんが閃光ライオット2013に出られているのを僕が一方的に知っていて、勝手に僕がTwitterでフォローしていて。多分最初はネット上だと思うんですよね。


岩瀬:
あー、確かにそうだったね。


室井:
そしたらある日、岩瀬さんがフォローを返してくれてインターネット上で関わりを持つようになって。確か初めてお会いしたのが「若者のすべて」っていう大塚のサーキットイベントで、そこで「最悪の少年」今は「いつかのネモフィラ」の前海さんと僕と岩瀬さんとで富士そばを食べに行って、そこで結構話した記憶があります。


岩瀬:
そうだね、富士そばいったね。


室井:
それから「とけた電球」のツーマン呼んでもらって...って言う感じですよね。


岩瀬:
懐かしいね。


室井:
あれはどういう経緯でツーマン呼んで頂いたですか?


岩瀬:
あの時一緒にやりたいと思う人がいなくてどうしようと思ってて。ふと、そういえば室井くんの曲好きだし呼びたいな、と。界隈も違うからどんな感じになるのかなと思って。


室井:
僕はなんか高校生の頃からずっとインターネットに根を張って活動してきた人間で。岩瀬さんはどちらかと言うとゴリゴリのライブハウスっ子っていうか、現場に根を張り続けて活動してきた人だから、お客さんも含めて界隈の混ざり合いが面白かったです。


岩瀬:
楽しかったですね。


室井:
その2マンで僕の存在を知ってくれた方がライブに来てくれたりメッセージをくれたりするので、とても有意義なライブでした。

まあ俺、ユーモアだからね。(岩瀬)

室井:
今回対談するにあたって何で岩瀬さんを呼んだかってことなんですけど。


岩瀬:
お、聞きたいわ。


室井:
さっきちょっと話に出ましたけど僕はインターネットに根を張り続けていて、岩瀬さんはずっと現場でバンド活動されてきた人で。僕も2016年の夏からやっと現場に出て活動し始めて、そうするとやっぱり今までインターネットで活動してきた分、現場に出てから初めて知ることや衝撃が沢山あったんです。で、その衝撃の威力が一番強かったのが「とけた電球」っていうバンドで。


岩瀬:
ありがとう。


室井:
インターネットで活動していると、「あれ、こんな曲作れて俺ってもしかしてすごいんじゃないか」って井の中の蛙になりがちというか。でもいざ現場に出てみたらこんなにも良い曲を作る人がいて、いいライブをする人がいるんだということを知って、衝撃受けたと同時にめっちゃ落ち込んだんですよね。笑


岩瀬:
あ、そうなんだ。


室井:
プレイヤーとしての岩瀬さんはもちろん素晴らしいんですが、作曲家としての岩瀬さんも本当に素晴らしい人だと思ってるんです。そういう意味でもネットの人だけに限らず、同じフィールドで戦っている先輩でもあるということで今回お願いしました。


岩瀬:
ありがとう。でもね、ライブハウスに出ているバンドって元を突き詰めるともっと深いからさ。音楽的にもっと深い人に憧れてバンドを組むわけじゃん。もっともっと深いところに行くと1950年代、60年代の音楽とかビートルズが好きでそこからバンドが始まって。日本だとCharとかあの世代の人たちがロックを日本に持ってきて。そっから今のJ-POPにつながってくるんじゃないかと思うんだけど、今のライブハウスって昔に比べたら気軽に行ける場所になっていると思ってて。だから深いところじゃなくて浅いところからバンドに憧れる人が増えたというかさ。だからちょっと薄くなっちゃった気がするんだよね、音楽が。


室井:
なるほど。カルピスの原液だったものを水で薄めて、その薄まったものをまた水で薄めてるみたいな。


岩瀬:
そうそう。その点で言うとインターネットってそういうのがあんまりない気がしていて、インターネットっていう場所自体が自分の好きなものだけを集めていろんなものを見られるから、そこがすごくいいなと思ったり。


室井:
なるほどなるほど。


岩瀬:
ライブハウスに居るとそういうのは多いからね。


室井:
でもずっとネットにいた僕からするとその制約すらもより輝いて見えたというか。岩瀬さんってなんか普段めちゃくちゃおちゃらけているじゃないですか。


岩瀬:
そうだね。


室井:
すげーひょうきんな感じなのにステージに上がるとめちゃくちゃかっこいいというか、そのギャップがずるい。


岩瀬:
まあ俺、ユーモアだからね。


室井:
いや、自分で言うんかい!


岩瀬:
いや、俺ユーモアの擬人化だから。


室井:
歩くユーモアだ。なんかその感じがすごい芸人さんと似ているなって思うんですよね。


岩瀬:
失礼だろ、芸人に。

一同:
ハハハハハハハ


室井:
いやなんか芸人さんとかって舞台袖とかって絶対おちゃらけてるはずないじゃないですか。だから僕は史上最もカッコいい人って芸人さんなんじゃないかって僕思うんですよね。


岩瀬:
スイッチのオンオフが凄いよね。


室井:
だからスイッチのオンとオフがすごい激しいというか、岩瀬さんは。だってライブの打ち上げもあんまり行かないじゃないですか。Twitter とかだとなんかすごいこの人って色恋沙汰の多い人なんだな見られがちかもしれないですけど、でも実はものすごいシャイじゃないですか。笑


岩瀬:
そうだね。打ち上げ絶対行かないしね。


室井:
仮に打ち上げ行ったとしてもそんなめちゃくちゃ喋らないし。


岩瀬:
そう、それが嫌だから帰るんだけどね。


室井:
ハハハハハハハ、お酒も意外と飲めないし。


岩瀬:
そう、俺こんな感じだから酒飲めるって誤解されがちだけど、本当に飲めないんだよね。

岩瀬さんの歌詞ってめっちゃ1/1と言うか、そのままっていう感じがありますよね。(室井)

室井:
ちょっと話はそれますけど、これは完全に僕が聴きたかったことなんですけど、曲作る時に一番大切にしてる事って何ですか?


岩瀬:
作詞かな。作詞で自分をどれだけ反映できるか。


室井:
なるほどなるほど。確かに岩瀬さんの歌詞ってめっちゃ1/1と言うか、そのままっていう感じがありますよね。


岩瀬:
自分では意識してなかったんだけど、「何か岩瀬くんってすぐ丸裸になるよね。丸裸だけどプライドがあって変だよね。」ってこの間レコーディングした時言われて。確かに結構自分を全部出すけど、何か隠したいところもあるし、それでもできるだけ隠さないで歌詞にしたいと思っているからさ。


室井:
ライブの MCとかでもモロ言うじゃないですか。「この間好きになった子がいて〜。」とか。


岩瀬:
あ〜そうだね。分かりやすくなればいいなと思って言ってる。


室井:
僕ライブする時かしこまっちゃうんですよね。それが素をさらけ出してやれるっていうのはすごいなと思っていて。


岩瀬:
恥ずかしいけどね。恥ずかしいし、俺のこと嫌いな人も絶対いると思うから、それは嫌だなと思っちゃうけど、ライブに関してはもうもういいかなって。ライブの時は俺最強って思ってやってるから。嫌われてもいいかなって。


室井:
なるほどなるほど。


岩瀬:
室井みたいにちゃんと慕ってくれる人に好かれていければいいかなって。


室井:
なるほど。

僕は失恋したんですよ。(室井)

室井:
アルバム聴いていただけましたか?


岩瀬:
聴いた聴いた。全曲聴いたよ。


室井:
ありがとうございます。今回は岩瀬さんも作風として恋愛の曲が多いと思うんですけど、アルバムで言うと『カナシズ』という曲があって、それはもう正にさっき話したような岩瀬さんのスタイルを僕もやってみようと思って書いた曲で。


岩瀬:
そうなんだ。


室井:
僕の曲の中でも最もさらけ出してますね。


岩瀬:
そうだね。


室井:
めっちゃPOV(「Point of View Shot」の略で、カメラの視線と登場人物の視線を一致させるようなカメラワークを指し、映画に限らず、アニメーションや漫画などでも演出用語として用いることができる。)です。


岩瀬:
POVって何?


室井:
「主観」みたいなことですね。ビデオカメラで持ってるみたいな。俯瞰した位置でカメラを向けられてる二人、というわけではなく、自分の手持ちビデオカメラで撮ったような曲で。


岩瀬:
それは歌詞を見た時にすごい思った。これ元カノの歌?


室井:
あっ、そうです。


岩瀬:
だよね。


室井:
そうですよ。いや、その話をしたいと思ってたんですよ。


岩瀬:
いや是非ね、これは対談に入れて欲しい。文字にして。


室井:
太字で?


岩瀬:
うん、太字で。世間に出して欲しい。


室井:
いや、するな。太字はやめてください。笑 この曲はまあそうですね、失恋したんですよ。


岩瀬:
うん、お話には伺っていましたが。


室井:
で、失恋をしてその日に僕は一番最初に連絡したのが岩瀬さんなんですよ。


岩瀬:
そうだった。連絡来たわ、朝の四時頃。どうしたと思ったもん。


室井:
なんか僕どうしようと思っちゃって。めちゃめちゃ好きだったから、これからどうしようみたいな感じになっちゃって。存在を話してた人がそもそもそんなにいなかったし、それで岩瀬に連絡して。「別れました。」みたいな感じで。


岩瀬:
俺なんて言ったっけ?


室井:
「あ、マジか」みたいな感じでした。で、僕が「今夜飲みに行ってくれないですか」って送ったら、岩瀬さんが「今日ライブなんだよね。よかったらおいで」って言ってくれて。


岩瀬:
あーそうだそうだ。


室井:
僕、すぐに「行きます」って言って。笑 そしたら岩瀬さんが「魔法が使えないから」という曲を歌ってくれたんですよね。曲前のMCも含めてクソボロ泣きしてしまい。普段僕公衆の面前では泣かないのに、しかも一人で行ったのにクソボロ泣きしてしまい。


岩瀬:
ボロ泣きしたんですか。


室井:
ボロ泣きしたんですよ。あの時は本当に救われました。


岩瀬:
元カノって忘れられないですよね。


室井:
いや、そうなんですよね。


岩瀬:
元カノ、忘れた?


室井:
ん〜、忘れてるか忘れてないかと言うと忘れてないと思います。


岩瀬:
気になんなくなった?


室井:
たまに気になりますけど、そういう気持ちはもう全くないです。別れた直後はこの歌詞みたいに無理に忘れようとしたりしました。


岩瀬:
無理だよね。なんだかんだで。今日何日?


室井:
8月8日ですね。


岩瀬:
僕ももうなんやかんや別れて1年近く経つけど普通に思い出すもんね。別れた直後に2ヶ月連続で毎日夢に出てきたし、しんどいよ。


室井:
悪夢だ。


岩瀬:
マジ悪夢だよ。夢の中では別れてなくて、幸せな夢とか見たし。


室井:
それこそ“いいところばかり目立って”じゃないですけど。


岩瀬:
そう、嫌なところもたくさんあるしもう戻ってもしょうがないから戻りたいとは思わないけど、もし続いてたら楽しかったのかなとか思っちゃうよね。


室井:
思いますよね。最近僕は時が経って続いてたら確かに幸せだったのかもしれないけど、続いてなかったということも結果として今にちゃんと響いてるんだなって思えるようになりました。楽しかったこと、辛かったことどちらにしてもあの時の事がちゃんと伏線になって今があるし、今この時この瞬間を生きているという事もきっといつかの為の伏線になっていると思うから、もはやどちらに転んでもいいと思えるようになってきたというか。だってずっと幸せなままだったらこの痛みも今日感じられていないままの自分だと思うから。それを今感じておけて良かったなって。


岩瀬:
俺も別れてなかったら『魔法が使えないから』は書けなかっただろうし。俺三日くらい前までレコーディングだったんだけど、その中で元カノの曲、また2曲くらい入ってるし(笑)


室井:
ハハハハハハハ


岩瀬:
一曲は『Baby night, Baby love』っていう曲で。元カノと浮気相手のこと二人を同時に考えながら作ったという曲でして。そうね、しんど(笑)


室井:
ハハハハハハハ


岩瀬:
まあ、今楽しいけどね、人生。めっちゃ変わんない?


室井:
わかるわかる。いや、僕はそもそもそんなに付き合うって言う経験をそんなにしてこなかったからその一発がめっちゃデカくてだいぶこたえました。


岩瀬:
俺も4年くらい付き合って、そこから生活に変化がなくなっちゃったから、内省的な曲になっちゃった。


室井:
より主観的になっちゃうというか、内省的になる。


岩瀬:
恋愛は人を変えるよね。


室井:
そうですよね〜。

付き合ってた頃のことをちゃんと思い出すとね、そんな幸せじゃないから。(岩瀬)

岩瀬:
『カナシズ』いい曲だよね。


室井:
ありがとうございます。


岩瀬:
「君の100を知れなくても限りなく100でありたいよ」


室井:
そう思いませんか?


岩瀬:
そうだね、無理だけど。


室井:
そう、無理なんですよ。だって自分は他人じゃないから100なんて知れる訳ないし、逆に言えば他人は自分じゃないし。それでも好きな人であれば限りなく100を知りたいじゃんっていう。


岩瀬:
全部を知れるとそれはそれで怖いんだけどね。「カナシズ」ってどういう意味なの?


室井:
これは古語で「かなし」っていうのがあるじゃないですか。「いとかなし」とかって言う。あれの意味はいわゆる「かなし」って言う響きからイメージできるように「悲しい」とか「切ない」とか、ネガティブな意味があるんですけど、実はもうひとつ意味があって。それは「愛しい」とか「可愛い」とかって言うポジティブな意味もあるんです。別れを決意しなくちゃいけないけれど、それでもその人のことが好きっていう、ネガとポジが混在している曲だから、その二つの「かなし」の複数形で「カナシ“ズ”」になっているんですけど。楽しかった事も辛かった事も全部含めて愛じゃん、っていうことを最終的に言いたかったんですよね。


岩瀬:
あーなるほど。いいタイトルだね。


室井:
「僕ら光影の中間で振り向けてない」っていう歌詞があって、光源から光が放たれて物体にぶつかると三角形ができると思うんですけど、その物体の後ろには台形に影ができますよね。そしたらきっと光よりも影の面積の方が大きくなるじゃないですか。だからその大サビの歌詞は辛いことの方がきっとたくさんあるし、嫌なこともたくさんあるだろうし。でもその影の部分、人間で言う所の闇の部分を知って、ちゃんと向き合ってこそ初めてその人のことが分かるというか、それ含めて愛なんだよっていうか。明るい部分だけを見てこの人でよかったと思うのは違くないかっていうのを言いたかった。


岩瀬:
本当にそう思うよ。付き合ってた頃のことをちゃんと思い出してみるとね、そんな幸せじゃないから(笑)


室井:
ハハハハハハ


岩瀬:
俺も色々あったけど前の彼女の酒癖だけは本当に許せなくて。というか俺が合わなかったから。


室井:
じゃあ、恋愛の曲書くときに気を付けている事ってありますか?


岩瀬:
人の恋愛を書かない。人の恋愛を気にしない。100人いたら100通りの恋愛があるわけで。


室井:
なるほどね。じゃあ一人の恋愛って100じゃんっていう。自分の恋愛って全体でもあるじゃんっていう。


岩瀬:
わかんないけどさ、もちろん共感する部分もあれば、きっと俺の恋愛の曲に関して「こんなんじゃなくない」って思う人もたくさんいると思うんだけど、その100ある中の1を「あー、わかる」って思ってくれたらいいかなって思うから。でもまあ失恋に関してはみんな同じ気持ちを持ってるんじゃないかなと思うから、ちょっとそこに関しては悩みところでもあるんだけどね。俺としては、恋愛の曲は自分の思ってることだけを描いて他人の恋愛は気にしないようにして、共感できるところだけ共感してくれたら嬉しい。


室井:
なるほどなるほど。確かになんか恋愛相談も…


岩瀬:
クソ意味ないよね。


室井:
アハハハハハ


岩瀬:
本当に恋愛相談はこの世にあるありとあらゆる相談の中で一番無意味だよね。


室井:
それぞれに愛があるから、これといった正解がないから。


岩瀬:
「正解不正解で」みたいなこと書いてたよね。


室井:
そう、正解風で不正解してるし、不正解風で正解もしてるし。


岩瀬:
正解はないからね。幸せだったらそれが正解なんだから、難しいんだけれど。


室井:
そうですね


岩瀬:
ワロタですわ。


室井:
ワロタですわじゃないですよ。笑 未練がましくて嫌ですけどホント。でも今はもの凄くフラットな状態で生活できてるというか、あれはあれでよかったと思えてます。


岩瀬:
それ凄いよね、別れてからも友達でいれるのは。俺は別れたらもう絶対会えないから。そこはすごいと思う。俺の場合、会ったら好きになっちゃう。自分に対してコンプレックスが凄いから、失恋から抜け出す最大の方法は幸せになることしかないから。


室井:
わかります。僕も失恋した時にとにかく予定入れたりして。恋愛においてだけではなくて、生活してる上で喜んだり悲しんだりすることの理由って自分が今抱えてる言葉や感情じゃ説明が付かないんですよ。だからもうそれが気にならないくらい予定を入れまくったら分散されていいなと学びましたね。あと、例えば友達が失恋したらアドバイスしたいのは“東京駅に行け”ってことですね。東京駅のめちゃくちゃ綺麗な女の人とすれ違って「あっ、世界ってこんなに広いんだ。」って思って欲しい。笑


岩瀬:
確かに俺も失恋した時めちゃくちゃ予定入れて一瞬でも楽しさを感じて紛らわせてた。


室井:
失恋した週に岩瀬さんと何回も飲みに行きましたもんね。笑


岩瀬:
安藤(マネージャー)もいたしな(笑)


マネージャー安藤:
いましたね笑




岩瀬:
ちゃんとまた恋愛とかしたいね。

室井:
ですね。またいつかタイミングが来たら。

岩瀬:
今でももう十分楽しいんだけどね。






マネージャー安藤:
恋愛してる時って逆にそういう歌詞って出ないんですか?恋愛の曲って失った後のことを描くじゃないですか。そういう恋愛の歌詞ってマジな幸せの絶頂の時に生まれてきたりはしないのかなって。


岩瀬:
幸せの絶頂の時に生まれることはないかもしれない。だいたい苦しい時だね。


マネージャー安藤:
なんでなんですかね。


岩瀬:
多分気づかないんだよね、幸せな時って。モチベーションにならないんだよね。
曲作ってる時って何か訴えたい時じゃん。思ったことがあるから作れるんだよね。幸せなままだと思うこともないんだよね。「ああ、幸せだな。」っていう感想しか出てこない。


室井:
そうですよね。


岩瀬:
満たされてんなぁって。その幸せが失くなった時に曲作ったりしちゃうんだよね。前の彼女の時すごい曲をたくさん書いたんだけど、「そのまま」っていう曲があって。なんか知らんけどその時の彼女がすごい泣く時期があって、めんどくさいなーって思っちゃうよね、泣きまくられたら。そういう時に曲作ったりとか。「あー幸せだな、曲作ろっかな。」っていうのはない。


マネージャー安藤:
二人が書く恋愛の歌詞って悲しみだけではなくて、楽しいこともあってそれも描くじゃないですか。それはどうやって描いていますか?


岩瀬:
楽しい曲は結構想像で書いてる。


室井:
確かにそれはあります。


岩瀬:
俺は根暗だからさ。だから楽しいところに自分から行かなくて。


室井:
ぶっ飛んだりヘコんだりの感情の浮き沈みでちゃんと生活に波ができて、沈んでるところから楽しいところに行く途中とか、逆に楽しいところからどん底に落ちたりする途中で曲が生まれやすい気がします。


岩瀬:
やっぱり落ちると曲ができやすいていうのはあるな。


室井:
そうですよね。


岩瀬:
落ちたくはないけどね(笑)


室井:
けど僕が常に本当に思ってるのは幸せな状態でこそめっちゃハングリーな歌詞とか、どん底みたいな歌詞がかける奴が本物だなって思うんですよ。


岩瀬:
ミスチルの桜井さんとか凄いよね。


室井:
凄い。だからこの「カナシズ」って曲は別れてから作ったとかじゃなくて、付き合ってる時にそれを挑戦してみようと思って書いた曲なんです、実は。


岩瀬:
あー、そうなんだ。


室井:
ライブとかでも付き合ってる時にこの曲を歌ったりしてたんですけど、時が経って別れた後にこの曲歌うことでその時初めて曲の意味が分かるというか。岩瀬さんはそういうのありますか?自分が書いてる時は歌詞を書いてる時はちゃんと意味がわかってないというか、抽象的に書いてるんだけど後々意味が沁みてくる時。


岩瀬:
後から自分に響いてくるというか。「魔法が使えないから」で言うと、今になってその頃の自分にすごい共感するような曲になったなって思う。その時はババババッて書いたんだけど、今自分の生活も落ち着いて当時の荒んだ感情抜きに歌うとめっちゃグッとくる、自分に対して。

室井:
不思議ですよね。昔聞いてたアーティストの曲を時が経った今聞いてみるとこういう意味だったんだってなる時はあるけど、自分の曲でこういうのあるんだって凄い不思議な気持ちになりますね。


岩瀬:
自分で共感できる歌詞が一番いいよね、結局。

デートってなにすんの?(岩瀬)

岩瀬:
ちょっと一つ室井に聴きたかったことがあって。これクソどうでもいいんだけど、デートってなにすんの?


室井:
アハハハハハハ


岩瀬:
デートってよくわかんなくて、高校生の時とかってカラオケとかでいいじゃん。二人になりたいって時は満喫とかカラオケとかそういうのでいいじゃん。で、今年何歳?


室井:
21になりました。


岩瀬:
俺23で、言うて変わんないじゃん。それで女の子とデートするとなった時に何したらいいかわかんない。心が18歳で止まってるからさ。あと、そんなに自分から思い切って外に出ないからさ、洒落た店も知らないし、そういう場所に行きたいとも思わないから、じゃあ今度遊ぼうってなった時にほんと何したらいいかわかんない。


室井:
ハハハハハハハハ


岩瀬:
当日行きたくなくなっちゃうんだよね。だから何するんだろうって。


室井:
何をするかって、どこ行くかとかですかね?


岩瀬:
呑みに行くとして、例えば15時ぐらいだとちょっと飲みに行くには早いじゃん。


室井:
僕は例えば初デートだったら浅草に行くかもしれない。笑


岩瀬:
浅草。


室井:
浅草ってなんかすげぇちょうどいいんですよね。定番でもあるんだけど気取りすぎてる感じもないし、無理がないし無理しすぎでもないし、無理しなさすぎてもないしちょうどいい。


岩瀬:
ちょうどだね。


室井:
無難にありなんじゃないですか?浅草。すみだ水族館とか行ったり、ホッピー通りでお酒飲んだり。


岩瀬:
俺、ユーモアなんですけど、 言うほど面白くないじゃないですか、一対一になると(笑)男はいいんだけど、女の子と二人になるとね。


室井:
僕はその人がどんな人かで変えるかもしれないです。相手がよく喋る子だったら喫茶店とかでずっと話したいし、話すのが得意ではない子だったらその場所に行くことによって自然と話題が生まれる場所に行きますね。水族館に行ったら特に無理に話を繋ごうとしなくても「魚、ヤバ」「ペンギンめっちゃかわいい」って会話が自然に生まれるじゃないですか。あと映画館とかだと観た映画の感想が自然と出てきたりするし。だからその人に合わせて場所を選ぶかもしれないです。そのどちらであってもいけるのが、浅草。笑


岩瀬:
アハハハハハハハハ、何でもあるじゃん笑


室井:
浅草やばいんですよ。


岩瀬:
許されることであれば僕は初デートで旅行に行きたいんだよね。許されるのであればだけど(笑)


室井:
アハハハハハハハハ


岩瀬:
温泉旅行に行きたい。


室井:
何でですか?


岩瀬:
第一に俺は歩き回るのがそんな好きじゃない。観光に向いてないんだよね、心が。生物として歩き回るのに向いてない。


室井:
アハハハハハハ


岩瀬:
そもそもゆっくりするのが好き、どこかで。で、最後に温泉が好き。


室井:
なるほどね、全部入ってんだ。


岩瀬:
あと暇な時間が嫌い。女の子とふたりの時にね。「この後どうする?」これが嫌い。まずこれを全て満たしてくれるのが俺の中では温泉旅行。温泉旅行でさ、箱根に行くとするよ。箱根っていうワードでまずワクワクできるじゃん、楽しいやん箱根って。


室井:
アハハハハハハハハ


岩瀬:
歩き回らなくても楽しいから。いつも住んでる場所じゃないからその辺ちょっと歩いてるだけで楽しいし。歩き回るのに向いてない俺でもすごく楽しめる。あとは、ゆったりしたい。本当はおうちデートがいいんだけど。まあお家デートってハードル高いし。


室井:
確かにハードル高い。


岩瀬:
「えっ」てなるから。初めての女の子に「家行っていい?」って言ったら「そういう目的?」ってなるから。それだったらまだ温泉旅行っていうパッケージでね。まだね、ゆっくりできるし(笑)


室井:
アハハハハハハハハ、奥底にはお家デートが隠されてますけどね。笑


岩瀬:
それが嫌だったら袋とじで「いや、これお家デートじゃないです、温泉旅行です。」ってね。旅行で完全に暇な時間なんてないやん。二人で部屋でテレビ見ながら喋ってるだけとか、「ちょっとお茶入れて」とか、タバコ吸ったりして、それだけで暇じゃないんだよね。だから俺は本当に初デートで温泉旅行に行きたい。


室井:
じゃあ岩瀬さんに初デートで温泉旅行誘われたら身構えないとだ。


岩瀬:
相手の人となりもわかるやん、旅行いったらさ。二人きりになれる空間だしね。それで二人だけになった時にそこで携帯ばっかいじってる人とか…


室井:
え、箱根から金貰いました?


岩瀬:
アハハハハハハハハハハハ、いや、回しもんじゃないんで。


室井:
箱根親善大使になってしまう笑


岩瀬:
観光協会の人じゃないんだけど笑。そう、あと箱根は距離も近い。1時間ちょっとだし。


室井:
確かになぁ。熱海とかより近いし。いや、もう箱根の曲作らなきゃね。笑


岩瀬:
いや、作ろうか笑



岩瀬:
都会のデートは好きじゃない。


室井:
難しいですよね。確かに大人になってから、二十歳を超えてからデートってこんなに気張るものだったっけって。


岩瀬:
カラオケとかで喜ぶ人だったらいいんだけどね。


室井:
そうですよね。そういう人がいいんだろうね。


岩瀬:
そう、代々木公園で缶の酒飲んでね。そうやって楽しめる関係だといいんだけど。


室井:
一緒に飲みましたもんね、今思えば。歩道橋の階段でね。


岩瀬:
そうね。そうやって楽しんでくれる人だったらいいんだけどね。「ちょっと旅行行かない?」って言ってノリよく来てくれる人と一緒にいたい。


室井:
じゃあ今度一緒に行きましょうね。


岩瀬:
うん、そうしよう。箱根。


室井:
箱根行きましょう。

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岩瀬賢明

2012年5月、高校のマンドリンクラブで出会ったメンバーで結成されたバンド「とけた電球」のギターボーカル。
「クラスにひとりはいそう」な男子たちが奏でるメロディや、心に響く歌詞、即興的で中毒性の高いライブ演出が注目を浴びている。
過去開催されたワンマンライブは全てソールドアウトとなる等、着実にその知名度を広げている。